コンテントヘッダー

国内文学『さまよう刃/東野圭吾』

娘を殺された男の復讐劇。

偶然、本作の内容と共通点の多い小説『悪党/薬丸岳』を読んだばかりだったこともあり、どうしても2つの作品を比較するような感じになってしまった。

2つの作品の共通点
愛する家族をレイプ、殺害されてしまう主人公。
犯人は、少年法で保護される未成年者。
犯行場面が、ビデオで撮影されていた。
犯人グループに対する復讐心を途切らせまいと、そのビデオテープ(DVD)を、苦悩しながらも何度も見続ける。

『悪党』のほうは、被害者遺族の心情に重点が置かれ、少年法に対する問題定義というテーマ性が、より強調されたものになっていた。
一方本作では、少年法云々というよりは、サスペンスドラマとしてのエンターテイメント性が重視された印象を受ける。

比較しながら読んだせいもあるのだろうが、登場人物の心理描写が、やや浅いかなとも思う。
ストーリー展開については、東野圭吾だけあって、読み始めれば最後まで飽きさせない力はある。
ただこれも、読者が予想できる範囲内に、留まってしまっていて、特に驚かされる場面はない。
せめてラストシーンに、何か一つ大きな仕掛けが欲しかった。
主人公に協力していた女性が、最後に取った行動。これは明らかに余計でしょう。

映画化されたことを知って、まずは原作からと思い読んでみたのだが、正直、映画のほうはしばらく後回しになりそう。

評価は、5つ星のうち、3.0


テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

このページのトップへ
コンテントヘッダー

国内文学『悪党/薬丸岳』

凶悪犯罪によって、奪われた家族の命。
被害者遺族にとって、加害者を心から許せる時がくるのだろうか?
一体どんな姿を見れば、許す気持ちになれるのか?
非常に重いテーマ性を持った社会派ミステリーの秀作。

『天使のナイフ』『虚夢』と、一貫して犯罪被害者の視点で描かれてきた薬丸岳の作品。
今回登場する主人公の探偵も、幼い頃に姉を殺されるという過去があり、出所した加害者に対して、復讐の炎を燃やし続けるという設定が、物語全体のベースとなっている。

他の作品もそうだが、読み続けるのがつらくなるぐらい、とにかく重苦しく悲しい話が展開する。
今作は特に、一人称で語られているということもあり、主人公のやり場のない苦悩と、抑えがたい殺意というものが、非常に細密に描写されている。
その分、ミステリー的な要素は少し抑えられた感じで、衝撃的と言えるほどの驚きはない。

それにしても物語の構成がうまく、複数のエピソードが徐々に絡み合っていくストーリー展開は、決して途中で飽きるということがない。

登場人物の中で特に印象的だったのが、危険を犯してまで主人公の力になろうとするキャバクラ嬢。
彼女の無邪気で健気な姿には、何度も胸を打たれ、そして最後の最後になって、少しだけ救われたような気持ちにさせてくれる。

評価は、5つ星のうち、4.0


テーマ : 読書
ジャンル : 小説・文学

このページのトップへ
コンテントヘッダー

海外文学『ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン』

ロバート・ラングドン・シリーズの第2弾。

映画版を含めてのこのシリーズ。
まずは映画『ダ・ヴィンチ・コード』を見て、次に『天使と悪魔』の原作を読み、続いて映画『天使と悪魔』を見て、そしてようやく今作へと……

あまり間を置かずにこれらのシリーズに浸っていたせいか、ちょっとおなかがいっぱいといったところ。
そんな読むタイミングの悪さもあり、どうもストーリーに集中できない。
映画版を2回見た後だったので、新鮮味もあまり感じられない。

宗教や歴史そして芸術に纏わる事実を題材にしているだけに、どこからどこまでがフィクションなのか?というぐらいに非常にリアルで、衝撃的な内容でありながら、決してストーリー構成に無理がない。

日本人にあまり馴染みのないキリスト教やヨーロッパの歴史についても、説明過剰にならない程度にわかりやすく表現されていて、特にダ・ヴィンチの『最後の晩餐』に隠された様々な謎の解明シーンには、以前から知っていた名画だっただけに非常に興味をそそられた。

この小説。どう考えても素晴らしい作品のはず……
なぜか素直にそう思えないというのは、やっぱり読むタイミングを間違えたせいかなあ?

評価は、5つ星のうち、3.5


テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

このページのトップへ
コンテントヘッダー

国内文学『バースデイ/鈴木光司』

これが『リング』シリーズの完結編だとすると、あまりにも物足りない内容。
まあ、シリーズのおまけってところでしょうか?

『リング』『らせん』の2作品は、間違いなくホラー小説史上に残る傑作。
続く『ループ』で、ちょっとホラーからは脱線したような理屈っぽい話になり、そして今作の“おまけ”となる。

シリーズものの宿命なのか、やはり作品のクォリティは下降するばかり……

ホラー好きの私が唯一楽しめたのが、産まれたばかりの赤ん坊(貞子)が、まだ歯が生え揃っていない歯ぐきを使って、必死にへその緒を食いちぎろうとする場面。
この辺の描写はさすがだ。

劇団に所属していたころの女優・貞子の様子も、興味を持って読むことができたが、今ひとつ盛り上がりに欠ける。

後は『ループ』の後日談程度の物語で終わる。
絶望的なこのシリーズに、ちょっとした希望を持たせるラストシーンにはなっているが、感動するところまではいかない。

ぜひ著者には、今シリーズ以外のホラー小説を期待したいところだ。
とは言え、鈴木光司って、今後もホラーを書く気があるんだろうか?

評価は、5つ星のうち、1.5


テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

このページのトップへ
コンテントヘッダー

洋画『アウトブレイク』

全米に広まる謎のウイルスの恐怖を描いたパニック映画。

『エアフォース・ワン』『ポセイドン』と、スケールの大きなアクション作品を得意としている監督だけあって、本作でもウォルフガング・ペーターゼンの能力が、十分に発揮された秀作に仕上がっている。

現在のようなグローバル化した社会において、未知のウイルスの脅威は、いつ発生してもおかしくないだけに、非常にリアルな迫力を感じる。

実際にこのようなパニックが起きた場合、病院だけで解決できるわけもなく、政治、軍、化学者、そして一般市民の協力というものが不可欠になるだろう。
この辺の描き方もうまく、しかもエンターテイメントとしての面白さも、これでもかというぐらいに詰まっている。

別れた夫婦が、事件をきっかけに元の鞘に収まったり、
政府や軍が、不都合な事実をもみ消そうとしたり、
あと、モーガン・フリーマンが、最後にいい人振りを発揮したりと、
まあ、よくあるハリウッド的なパターンに当てはまったストーリーではある。

それとわかっていながらも、これだけ楽しませてくれれば十分でしょう。
ヒットの法則というものがあるとすれば、今作などはその法則に忠実にしたがって作ったという感じがする。

感染拡大を防ぐために、爆弾を使って一つの町を破滅させようとする場面が出てくる。
これを見て思い出したのが『バタリアン』
これって確か、実際に核兵器を落としちゃうっていうオチでしたよね。
ハリウッドのパターンに当てはまらないという点からすると、ある意味凄い作品だったのかも……

評価は、5つ星のうち、4.0


テーマ : アメリカ映画
ジャンル : 映画

このページのトップへ
このページのトップへ